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新しいNISA、これだけ知っておけば大丈夫

家計管理

更新日:2023年11月09日

新しいNISA、これだけ知っておけば大丈夫

最近よく耳にする「NISA」(ニーサ)。投資ができて、おトクらしいけど...、始めた方がいいのかな? そう思っている人は多いでしょう。2024年から大きく制度改正される「NISA」は、お金を増やしたいなら、ぜひ上手に活用したい口座です。そのために知っておきたいことを紹介します。

2024年からの新NISAで押さえておきたいポイントは3つ

2024年以降のNISAを使うためには、次の3つのことを知っておきましょう。

  1. NISAは投資の口座で投資で得た利益にかかる税金が非課税になる
  2. 自分の生活に合わせてマイペースで使える
  3. いろいろな投資商品が利用できるけど、投資信託を積立てるのが、手間がかからず価格変動のリスクも低減できる

では、順に説明していきます。

お金が増えたら約20%の税金を引かれるが、NISAなら非課税

お金を銀行に預けたり、投資商品を買ったりして、利息をもらったり値上がり益を得たりすると、自分のお金が増えます。増えた部分には税金がかかり、税率は約20%(所得税+住民税+復興特別所得税*の合計)です。例えば、1万円お金が増えたとしても、自分の手元に残る利益は8000円弱に。この約20%の税金を引かれないのがNISAです。利益はまるまる自分のものです。

預金の金利は現在低いので、あまり気にならないかもしれませんが、投資で大きく増えたときはどうでしょうか。もし、10万円お金が増えたとき、手取りが税引き後の8万円弱か、10万円かは大きいですね。お金が大きく増えたときほど、非課税のメリットは大きくなります。そして、NISAは投資の口座なので、時間をかけてお金を増やせる可能性があります。

つまり、「NISAは投資の口座で投資で得た利益にかかる税金が非課税になる」のです。

*復興特別所得税は2037年までの期間限定

NISAなら非課税

18歳以上の人が使えて、口座開設はいつでも可能、非課税期間は無期限

NISAを使えるのは日本に住む18歳以上の人です。2024年から口座開設期間が恒久化され、非課税期間も無期限になったので、いつでも思い立ったときに口座を開設して始めることができ、NISAで買った投資商品はいつ売っても利益に税金がかかりません。

自分の家計の状況やライフイベントに合わせて使うことができます。若い人から高齢者まで、幅広い世代の人が、投資の非課税口座として利用できます。

非課税という特典があるので、投資できる元本の金額には上限があります。投資信託を積立てる「つみたて投資枠」の場合は年間120万円まで、累計の総枠は1800万円までです。しかし、元本で1800万円までの投資は、一般的な世帯であれば充分ではないでしょうか。しかも、購入した投資商品を売ったら、その分の枠が翌年以降に再利用できます。例えば、100万円の投資をして、120万円に値上がりしたところで売却したら、20万円の値上がり益を含め、120万円を非課税で受け取り、元本の100万円分の投資枠が翌年に復活するのです。

年間枠および総枠の範囲で、自分の都合に合わせて投資額を決めていつでも投資ができて、いつでも売却ができます。枠内であれば金額もタイミングも自分次第。そして、非課税期間は無期限です。

つまり、様々な年代の人が、「自分の生活に合わせてマイペースで使える」投資口座です。

ただし、あせる必要はないけれど、少額からでいいので、なるべく早くスタートしたほうが有利になる可能性が高いと心にとめておきましょう。なぜなら、価格変動する投資では、長期に投資をして時間を味方に付けることで価格変動のリスクを抑えることができるからです。投資期間を長くとれるなら、長い方がいいからです。

初心者なら投資信託の積立から

さて、問題は、何を、どうやって買うかです。NISAでは、株式、投資信託、ETF、REITを買うことができます。買うときは、積立でも一括でも可能です。売るときは、一部のみでも、全部でも売ることができます。

NISAの一番のメリットは、利益に税金がかからないこと。言い換えれば、利益が出なかった場合は、損をした上に、そもそも利益がないのですから非課税のメリットもありません。

NISAで投資をするなら、時間をかけてある程度の利益を得ることが目標になります。併せて、損をしないで売ることも最低限の目標として意識しておいたほうがいいでしょう。

初心者なら投資信託の積立から

投資商品は預金と違って値動きします。NISAで利用できる投資商品もすべて価格が変動します。買った時よりも値下がりすれば損失、値上がりすれば利益です。ただし、保有中に値下がりしても、あくまで評価額が下がっているだけであり、値上がりも同様です。実際に売却した時点の価格で現実の損益が決まります。

では、損を防ぐために、価格変動のリスクを小さくするにはどうすればいいのでしょう。

「分散、積立、長期」というフレーズを聞いたことはありませんか? 値動きの異なる複数の投資対象に分散し、一度に買うのではなく一定の金額で定期的に積立で買っていき、それを長期に続けることでリスクが低減されます。NISAの「つみたて投資枠」なら、この方法で投資ができます。

下の表は、NISAの積み立て投資枠の概要をまとめたものです。

金融庁サイト「新しいNISA」のページをもとに作成
NISA 積み立て投資枠(2024年1月~)
利用できる人 日本に住む18歳以上
1年間で投資できる金額 120万円(元本)
非課税保有限度額(総枠) 1800万円(元本枠の再利用が可能)
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託

NISAのつみたて投資枠で利用できる対象商品は、長期の積立・分散投資に適した金融商品として金融庁が定める条件を満たした投資信託です。買い方も、名前の通りで積立のみです。

投資初心者なら、NISA口座を開いたら、まずは「つみたて投資枠」を使って、家計に無理のない積立額で、毎月投資信託を積立てるのが第一歩です。いったん申し込みをしてしまえば、後は忘れていても、選んだ投資信託が、毎月、積立購入されていきます。仕事や子育てなどで忙しく、じっくり投資に向き合う時間がなかなか取れない人も、最初に、口座開設、積立額の決定、投資信託の選択を行えば、あとは仕組みにお任せで投資ができます。

NISAでは、「いろいろな投資商品が利用できるけど、投資信託を積立てるのが、手間がかからず価格変動のリスクも低減できる」というわけです。

初心者なら投資信託の積立から

最後に「つみたて投資枠」での投資信託の選び方を紹介します。

条件を満たして厳選されているとはいえ、「つみたて投資枠」で利用できる投資信託にはいくつかのタイプがあります。

「日本の株式に分散投資する」タイプ、「海外の株式に分散投資する」タイプ、「日本と海外の株式など複数の資産に分散投資する」タイプが代表的です。「日本と海外の株式など複数の資産に分散投資する」タイプは、商品名や投資スタイルに「バランス」や「資産分散型」という言葉が使われているものが多いです。最初は、幅広く分散されたこのタイプを選んではどうでしょうか。

NISAで投資を始めてしばらくたったら、積立てている投資信託の値動きや評価額を確認してみましょう。慣れてきたら、別の投資信託の積立を追加するなどを検討してもいいでしょう。年齢や立場に合わせて、マイぺースでじっくりNISAを活用しましょう。

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坂本綾子

坂本綾子

生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー。

雑誌の取材記者を経て独立。消費者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行う。著書に、「節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本」(朝日新聞出版)、「お金に好かれる人になるための35の習慣」(KADOKAWA)、「子どもにかかるお金の超基本」(河出書房新社)などがある。

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