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金利ってなに?親子で学ぶ経済と家計の関係

家計管理

更新日:2024年01月15日

金利ってなに?親子で学ぶ経済と家計の関係

子どもとお金の話をしていますか? 大人になってから自分のお金をちゃんとやりくりするために、子どもの頃からお金について学ぶことは大事です。わかってはいても、どう話したらよいのか、難しいと感じている人は多いのではないでしょうか。

親だから、大人だからと堅苦しく考えずに、一緒に学ぶつもりで、子どもとお金の話をすることから始めてみませんか。

買い物は会話のチャンス

もっとも気軽に子どもとお金の話ができるのは買い物のときでしょう。例えば、買いたいモノの値段が高いか安いか。そういう内容なら話しているという家庭はけっこうありそうですね。家計のやりくりに買いたいモノの値段は直接影響します。

 

そこから会話を広げてみましょう。

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値段が高いか安いかを判断するときは、主に2つの側面から考えているはずです。買いたいモノの価値に対して値段が適切か、家計にとってその値段は分相応か。加えて、値段の変化にも注目してほしいのです。以前よりも値上がりしてはいませんか? 同じ商品・サービスでも、社会の状況によって値段は上がったり下がったりします。

 

値段が変動する原因を考える

野菜などの生鮮食品は、たくさん収穫できれば値下がりします。買いたい人たちの買いたい量に対して、提供される量の方が多くなるからです。逆に不作により提供できる量が減ると値上がりします。買いたい量に対して少なくなり、どうしても手に入れたい人は高くても買うからです。遠い国の天候不順などによる不作が原因で国内の物価が上がることもあるのです。値段は原則として、求められる量(需要)と、差し出される量(供給)のバランスで決まります。

 

需要が供給よりも多い → 値段が上がる

需要が供給よりも少ない → 値段が下がる

 

一方、加工食品などは原材料が値上がりすることで、値段が上がることがあります。値段を上げないと、モノを販売する会社は利益が減ったり赤字になったりするからです。2021年秋以降、日本では加工食品や光熱費が値上がりしていますが、主に原材料の値上がりが原因です。

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値段が変化しているときは、その原因を考えてみましょう。子どもも、自分が買いたいモノの値段には関心があるはず。一緒に調べたり、考えたりして、ぜひ、会話を発展させてください。

 

金利はお金を借りた人が貸した人に払うお礼

値段はひとつひとつのモノについていますが、モノの値段を総合的に表すのが物価です。値上がりするモノが多いと、物価が上がっていると言いますね。そして、物価と併せて理解しておきたいのが金利です。なぜなら物価と金利は連動しているからです。

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そもそも金利とは何でしょうか? 金利は、お金を借りた人が、貸した人に払うお礼です。金利は、年間お金を借りた場合のお礼を利率(元金に対する割合)で表します。

 

例えば、金利1%で100万円を年間借りたら、100万円×1%(0.01)=万円のお礼を払います。お礼は利息と呼ばれ、借りた100万円と利息の万円を合わせて合計101万円を返すことで、貸し借りが終了します。

 

借りる人にとっては金利が低いとお礼が少なくて済むので嬉しいですね。逆に貸す人にとっては金利が高いとたくさん利息を受け取れるので好ましいことになります。

 

貸す金利よりも借りる金利の方が高い

金利はいつも同じではなく変動しています。上がったり下がったりしています。モノの値段は原則として需要と供給のバランスで決まりました。金利も同じです。お金を借りたい人(需要)が多いと金利は上がり、お金を借りたい人(需要)が少ないと金利は下がります。

 

金利にはもうつ原則があります。同じ時期なら、貸す金利よりも借りる金利の方が高いのです。

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ここで家計と金融機関の関係について確認しておきましょう。家計は、余裕資金や貯めておきたいお金を金融機関に預けます。これは、金融機関にお金を貸している状態です。金融機関は預金者から集めたお金を元手として個人や企業に貸し付けています。金融機関からお金を借りた個人や企業はお礼として利息を払います。借りた人が払う利息と、預けた人に払う利息の差が金融機関の利益になります。そのため、借りる人の金利は預ける(貸す)人の金利より高く設定されます。

 

どうしても欲しいもののためにお金を借りるときは、なるべく低い金利で最小限の金額にするのが鉄則です。

 

さて、物価と金利の関係に戻りましょう。

 

物価が上がると金利も上がる

物価が上がると、もっと値上がりするかもしれない、その前に手に入れておこうという心理が働き需要が増えます。需要に応えるために企業は生産体制を整えたり設備投資を行ったりし、そのためのお金を借りるケースがでてきます。消費者も高額なモノの場合はお金を借りて(ローンを組んで)でも買いたいと考える人がでてくるでしょう。お金の需要が高まり、金利が上がります。

 

逆に物価が下がると、消費者はもう少し待ったらもっと値下がりするかもしれないと考えて買う意欲が低下します。モノが売れないと企業の売り上げは減り、生産活動は不活発になりお金を借りるケースは減ります。お金の需要が低くなり、金利は下がります。

 

円高・円安って何?

金利は外国為替とも関連しています。日本円と米ドルなど異なる通貨を交換することを外国為替、交換の際の比率を為替レートといいます。

 

日本円を米ドルなどの外貨に交換するとき、日本円がたくさん必要になる、つまり日本円の円当たりの価値が低いのが円安です。逆に日本円が少なくて済む、つまり日本円の円当たりの価値が高いのが円高です。

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為替レートが米ドル130円から1米ドル150円になったら、円安になったということです。この場合、1米ドルのモノなら、日本円では130円から150円に値上がりします。つまり円安になると輸入品の値段が上がります。その結果、原材料を含めて輸入が多い食料品の物価が上がることになります。

 

また、金利が高い通貨は高くなり、金利が低い通貨は安くなる傾向があります。金利が高い方が預けたときにお金が増えるので、金利が安い通貨を売って、金利が高い通貨を買う人も増えるからです。為替レートもお金の需要と供給のバランスにより変動するのです。

 

グローバル化が進んだ現在、海外の金利の変動が為替レートを動かし、日本の物価に影響を及ぼすこともあります。

 

まとめると、物価、金利、為替レートは関連していて、モノやお金の需要と供給のバランスで変動しています。ただし、社会はいろいろな要素が絡み合って動いているので、原則通りにはいかないこともあります。それでも原則を知っていれば、判断材料になりますね。

 

今、その値段で買うのか、その金利でお金を借りるのか、もう少し待って様子を見るか。経済と家計はつながっていて、教科書で学ぶのみならず、日々の暮らしの中でも、変化に敏感になり、変化の原因を考えることで学べることがあります。子どもと一緒に始めてみましょう。

 

坂本綾子

坂本綾子

生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー。

雑誌の取材記者を経て独立。消費者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行う。著書に、「節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本」(朝日新聞出版)、「お金に好かれる人になるための35の習慣」(KADOKAWA)、「子どもにかかるお金の超基本」(河出書房新社)などがある。

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